始まりの音
「ジジッ――。」
今年、最初の蝉が鳴いた。
思わず足を止める。
その一声だけで、
季節が音を立てて、ページをめくった気がした。
ついこの前まで、
やわらかい風が吹いて、
桜が咲いて、
新しい制服や、
少し大きなランドセルが街を歩いていた。
春は、いつも少しだけ浮かれている。
何かが始まりそうで。
今年はどんな一年になるんだろうって、
理由もなくワクワクしてしまう季節だ。
でも春は、
気づけば何も言わずに、そっと帰ってしまう。
「また来年ね。」
そんな挨拶さえ残さずに。
そして、蝉の声を聞くたび、
少しだけ寂しくなる。
春が終わった音だから。
だけど不思議と
その寂しさの向こうには、
ちゃんと夏が待っている。
青空。
入道雲。
ラムネのビー玉。
夕立の匂い。
花火。
浴衣。
夜風。
また今年も、
新しい思い出が生まれる季節。
最初の蝉の声を聞くたびに思う。
「今年の夏も、よろしくね。」
春を見送る寂しさと、
夏を迎える高鳴りは
いつも同じ音から始まる。
「ジジッ――。」
そう、いつだってこの音から。


ラムネのビー玉!夏になると必ず家にころっがていて、
あ足ツボを刺激すんですよね〜
セミの声がまだですが、夏が来ますね〜
暑くなってきましたね🫠